小堺化学工業株式会社 小堺化学工業株式会社
トップ ニュース 会社情報 アクセス 採用情報 リンク お問い合わせ

トップ > 会社情報 > 冊子
社長挨拶
会社概要
沿革
業務案内
取扱商品
コラム・著書
冊子紹介
  • 野菜天麩羅は季節の味?

    野菜を揚げた物は天麩羅とは言わない。私の子供の頃江戸っ子はこう言っていた。魚介類に衣を付けて揚げた物を天麩羅、ナスやニンジン、ゴボウやハスに衣を付けて揚げた物は精進揚と言うんだと教えられた。確かにそのころ江戸前を売り物にしていた天麩羅店では天麩羅にした野菜の類を食べた記憶が無い。あっても彩に副える、しし唐位の物だったように思う。

    かといって江戸っ子が野菜の天麩羅を食べなかった分けでは無い。下町には精進揚げの専門店があり揚げた野菜の天麩羅を店頭で販売していた。

    家庭でも良く精進揚げを揚げて夕飯のおかずとした物である。家族が何人かいると私はサツマイモの天麩羅、僕はインゲン、私は椎茸等と好みも別れて食事を楽しんでいた。

    要するに魚介類を使った天麩羅と野菜を使った天麩羅は別物として区別していたと言う事らしい。現在天麩羅店でかたくなにこの伝統を守っている店は少ない。むしろ野菜の天麩羅を売り物にして繁盛している天麩羅店は多い。

    季節ごとの野菜や山菜、キノコ等の天麩羅を食べる事は天麩羅好きの楽しみでもある。日本料理は季節を大切にするが天麩羅で季節を味わうのもおつな物である。

    暖かい地方で採れたフキノトウ、コゴミ、タラの芽等の天麩羅を食べれば一足早く春の訪れを感じる事が出来る。筍の天麩羅、菜の花やそら豆の天麩羅は春を満喫できる。

    夏野菜ならグリーンアスパラからミョウガ、オクラやインゲン、ヤングコーン、最近ではプチトマトを天麩羅にする店もある。色とりどりのパプリカやしし唐、万願寺唐辛子等も美味しい。

    秋を迎えれば嫁に食わすなと言われた秋ナスやほっこりとしたサツマイモの天麩羅も登場する。高級な処では松茸や各種キノコ類の天麩羅も秋に欠かせない味覚である。ギンナンやムカゴ、変った処ではアケビやヒシの実、栗や柿を天麩羅にしても美味しい。

    冬ともなればクワイやユリ根、セリの天麩羅も食べたい。

    堀川ゴボウや万願寺唐辛子、京人参等の京野菜も天麩羅種となる。そう考えると天麩羅好きは季節ごとの天麩羅を食べなければ一年を過ごす事が出来ないような気持ちとなる。

    要するに山菜や野草の類から各種野菜やキノコ等どれも天麩羅種に成らない物は無いと言う事に成る。

    「何これ珍百景」なるテレビ番組の中で俳優の岡本信人が一般に知られていない野草やキノコ等は食べられるか検証するコーナーがあった。必ず天麩羅にしてその食物が食べられることを実証して見せる。もちろん体に害を及ぼすような物は天麩羅として揚げても無害になるわけでは無いと付け加えて置きたい。

    季節が無いと言われる都会では天麩羅店で季節を楽しむのもおつな物と言える。

  • 天麩羅はお好みで?

    天麩羅店では殆どが価格によりいくつかのコースを作って客に提供している。店に任せる形なので世話無しではある。店の方で予算に合わせて定番のエビやアナゴに加え季節の魚介や野菜類などを取り混ぜて揚げてくれる。締めはかき揚を天丼にしたり天茶漬けにしたりもしてくれる店もある。

    しかしせっかく目の前で揚げてもらうのなら、たまには自分の好のみで食材を揚げてもらうのも良いだろう。混雑している時は嫌がられるかもしれないが、お好みの注文で客に対応する力量のある店もある。そう言う店は自分の工夫した揚げ方で提供してくれたり、めずらしい天麩羅種が手に入るとそれを勧めてくれたりする。

    私のお好み天麩羅初体験は30年以上も前になるが、新宿の有名店「つな八」であった。ハマグリの天麩羅は、用意した2個のハマグリを使い一度ハマグリの身を貝殻から外す。開いてあった貝の両方にハマグリの身を入れて、貝殻ごと衣を付け天麩羅にした物であった。ハマグリを貝殻ごとあげる事に驚いたがそこに仕事がされている事に感心もした。他にも珍しい天麩羅を食べて、最後はアイスクリームの天麩羅を頂いた。江戸前天麩羅として少し邪道かもしれないが、お好み天麩羅ならではの楽しみを味わえた気がした。

    揚げ手にとっても、客と対話をしながら天麩羅を揚げる事が出来るので利点もあると思われる。たとえばプチトマトの天麩羅を揚げて黙って客に出したら、こんな天麩羅はいらないと思う客がいるかもしれない。お好みなら今日は何処産の良いトマトが入荷していますがお試しになりますか。こんなやり取りから客が興味を示してくれるかもしれない。

    日本橋の天麩羅店「弁慶」はこのトマトの天麩羅を推奨している。オリジナルや自店で工夫した天麩羅を提供する店は多い。

    「柳橋大黒家」では食パンを揚げてウニをソースのようにまとわせるウニパンを提供する。コースの中の一品であるが店の名物ともなっている。

    築地にある「天竹」は天麩羅とふぐ料理を二枚看板としている。当然のようにふぐの天麩羅が名物となっていて、毎月29日を肉の日ならぬフグの日としてフグ天丼をサービス価格で提供している。

    現在東京で一番歴史の古い天麩羅店とされている浅草の「三定」は、饅頭の天麩羅をデザート感覚で提供している。揚げ饅頭としてお土産とする人も多い。

    色々な店でめずらしい物にお目にかかる機会があり、生ウニを海苔で巻いた天麩羅やフグの白子の天麩羅もことのほか美味である。

    いずれにしても店の職人と会話を楽しみながら食べるお好み天麩羅は、天麩羅の醍醐味かも知れない。その際は好き嫌いや是非は別として、薦められたオリジナル天麩羅を味わってみるのも一興と思われる。

  • 揚げ加減は職人の腕?

    天麩羅を揚げる時に使用する小麦粉は通常薄力粉を使用し冷水にてかき混ぜすぎないように溶いていく。かき混ぜてグルテンが強くなると揚げた時に衣に含まれる水分をはなし難くなりサクッとした食感にはならない。氷を使って溶く水を冷やしたり小麦粉自体を冷やしたりするのもグルテンを抑える為である。

    揚げる時には衣の水分と油分を素早く置き換える事が必要になる。同時に高い温度で短時間に調理する事により具材となる天麩羅種も風味や栄養価も損なわず美味しく食べる事が出来る。

    水分を飛ばして揚げた衣は置いておくと空気中の水分を吸って湿気をおびてくる。それによりサクサク感が失われシナッとなって来てしまう。

    すなわち天麩羅を美味しく食べる原理は揚げる寸前に素早く衣を作り材料にまとわせ高温のたっぷりの油でサッと揚げる。食べる方も揚げたてを提供されたら時間を置かずに食べる事が最良と言える。

    小麦粉を配合する場合もあり、その場合はもじどおりその店の天麩羅粉となる。粉の種類を季節によって使い分ける店もある。

    溶き水に鶏卵を加える場合もありこちらも卵のタンパクや油分を利用して美味しく揚げる工夫をした。昔は卵黄を混ぜて揚げ上がりの色から金麩羅、卵白を混ぜて銀麩羅等ともじった言い方をしていた店もあった。

    天麩羅を揚げる温度は180度位で目安としては溶いた衣を揚げ油に落し沈んでもなべ底に付かない内に上がって花開くような温度が良いとされる。職人が水で溶いた天麩羅粉を油に落して確認するのは頃合いの温度を確かめる為である。

    揚げる材料によっても火の入り加減を調整し一度に鍋に投入する量も油の温度が下がらないように考えて行う。余熱も考慮し少し生の部分を残して鍋から上げ余熱を使って良い頃合いにするのも職人技である。

    経験を積めば天麩羅の揚がり具合を音で聞き分ける事も出来る。油に投入したての音と火が通り始めた音、頃合いにより微妙に変化してくる。それらを聞き分けて自身がここぞと言うタイミングで天麩羅鍋から引き上げる。このタイミングは食材によっても店や職人によっても違う処が又面白い。要するに天麩羅職人は五感を使って自分の考える最も良いと思われる揚げ方を工夫している事になる。

    天茂では薙鮎を揚げる時は柔らかい腹の部分に衣を多く付け頭と尾の部分には衣を付けずに頭と尾を持って油に浮かすように投入する。内臓を含んだ腹の部分の衣が薄いとパンクしてはじけ飛んでしまい風味を持った薙鮎の醍醐味が台無しになってしまう。この揚げ方であれば頭と尾の部分はカラッと揚がり胴体の部分はふっくらとジューシーに仕上がる。

    粉の溶き方や温度、材料への付け方等により衣の食感はもとより素材の特徴を左右する事となる天麩羅は揚げ手の職人の腕の見せ処と言えよう。客もまたその揚げ加減を味わい自分の好みの店を見つけるのが天麩羅を食す楽しみとなる。

  • かき揚は天麩羅の真打?

    天麩羅と言えばエビやアナゴ、キス、メゴチ等、人それぞれ好きな食材があると思われる。なんと言ってもかき揚が好物と言う天麩羅好きも多い。殆どの天麩羅店がコースを頼むとまずエビを揚げて最初に客に提供する。旬の魚や季節の野菜をひと通り揚げ終わると最後はかき揚が登場しコースを締めくくる。かき揚と赤だし味噌汁にご飯とお新香でコース終了となる。店によってはかき揚を天丼や天茶づけとして提供する事もある。いずれにしてもかき揚を天麩羅コースのおおとりと位置付けている事となる。

    かき揚は店ごとに違った味わいが最も表現される天麩羅ではないだろうか。小エビと小柱だけでかき揚を作る店もあればそれに三つ葉を加える店もある。季節によってはそれにシラウオ等を加える事もある。イカを使ってリーズナブルな価格で提供する店もある。輪切りにしたネギや春菊等を使って彩や風味を加え、玉ネギを使えば甘みが増してそれはそれで美味しい。産地の静岡ではサクラエビのかき揚も定番である。

    かき揚そのものを名物とする店も少なく無い。浅草の「中清」は幕末の頃の屋台から始まり明治3年に店舗を構えた老舗である。東都のれん会唯一の天麩羅店としても知られ江戸前を貫いているので野菜類の天麩羅は出さない。浅草の雷門の雷神様が持つ太鼓に似ている事から雷神揚げと命名された大きなかき揚が看板商品である。

    同じ浅草の「葵丸進」は天麩羅の大型店であり、こちらは大判のかき揚を金竜山浅草寺にちなみ金竜揚げとしている。

    赤坂にある「天茂」は昼に訪れる客の殆どがこの店のかき揚丼を目当てにしている。いつも賑わう店内で天麩羅を揚げている高畑粧由里は天麩羅店では珍しい女性の揚げ手である。倒れた父の後をついで2代目天麩羅職人となったが、前職は教師だったと言う変わり種である。

    かき揚に欠かせない小柱は青柳の貝柱の事である。青柳はバカガイと呼ばれるが呼名の由来には、昔は東京湾でバカのようにとれたから等諸説がある。現在江戸前の小柱と呼ばれるのは千葉県富津あたりで漁獲されている。北海道あたりで漁獲された物は大振りの貝柱でかき揚にして食べごたえのある物もある。北方系と南方系で大きさの違いがあるようであるがいずれにしても歯ごたえのある食感が好まれる。

    最近は天ばらと言って、塩味のかき揚を茶碗に乗せて白飯に混ぜる様にして食べるのも流行っている。天麩羅コースの最後の食事として、この天ばらを出す店も増えている。天ばらとは元祖を名乗る「天ぷら店魚新」によると揚げたてのかき揚を炊きたてのご飯をよそった丼や茶碗に乗っける。塩を適量振ってバラバラにしてご飯と混ぜながら食べるので天ばらと称したと言う。

プライバシーポリシー サイトマップ お問い合わせ
Copyright (C) 2008 KOSAKAI CHEMICAL INDUSTRY. All rights reserved.