はし休め
日本橋倶楽部会報8月号(第492号)より抜粋
【八月号】
本年の流行語大賞に確実にノミネートされるだろう“3密”。今や世界中でウィルス対策として「密閉・密集・密接」の禁止が叫ばれている。
本来、“三密”とは大日如来を本尊とする密教の教え「身密(しんみつ)・口密(くみつ)・意密(いみつ)」を言う。“身”は行動、“口”は発言、“意”は心を意味し、これらの三つを整えて悟りを開く。現代のウィルス禍にも通ずる訓えであるが、三つの“み”「ねたみ・ひがみ・やっかみ」も心に感染するものとして戒めたい。
しかし人間は3つで括る言葉を好むようだ。なるほど、3つまでは頭に入りやすく、忘れにくいが、3つを越すと覚えきれず、「七不思議は?」のようにクイズにもなりかねない。かつて「キツイ・汚い・危険」の過酷な仕事を“3K”と称した。小生はバブル時、ゴルフ場の「高い・遠い・取れない」を“3T”と名付け、苦労させられた。さて小欄の朝の忘れ物チェックは“3K”「鍵・金・携帯」と“3T”「手帳・定期・時計」の点呼・確認で完了する。しかし夜の男の憧れ、“3密”「密会・密通・密夫 (まおとこ)」は秘密裏に心の中で点呼するものの、依然として未完のままである。 小堺