山口
山口県は周防と長門を合わせた所である。鎌倉時代になり、周防の国府の有力な役人であった大内家が、山口県に本拠を移して室町時代に周防・長門の2国を治めた。大内家が中央の文化に関心を高めていたために、山口県は「西の都」といわれるほど栄えたが、その後毛利家の周防・長門征圧によって衰退する。明治維新後の長州人(長門の人)は、権力中枢を占め、政界や財界で活躍した人が数多くいる。
山口県の西の端の下関は、かつては大陸への窓口として栄えた。三方は日本海・響灘・瀬戸内海に囲まれ、海岸線は複雑で周囲に約240の島々があり、水産物の水揚げ港が多い。気候は地域差があり、日本海側の冬は季節風が強く、山間部は気温差が大きい。山口県の農業は米の栽培が中心であり、日本海側と瀬戸内海側に好漁場があるので、水産関係の産業が発展している。
郷土料理
豚肉では「鹿野ハイポー豚」があり、鶏では「長州かしわ」がある。
郷土料理の「お好み焼き(広島焼き)」は、キャベツやネギを沢山使っている。戦前の一銭洋食が原形で、これに第二次大戦後に利用されるようになったさまざまな食材を組み合わせたものといえる。
伝統料理
萩式焼き抜き蒲鉾
山口県における蒲鉾製造の歴史は、宝永年間(1704~1711)に萩毛利藩主吉元公が、徳川5代将軍綱吉公に蒲鉾を献上したことが始まりと伝えられている。萩近海のエソを主体とし、小ダイ・キスなどを原料とする。原料を処理し身肉を取り出し、水で晒した身肉をすり身にして調製する。これを杉板につけて粘弾性を進行させてから、火床に伏せて焼いて仕上げるのが萩地方の焼き蒲鉾の作り方である。白い肌と粘りの強い足(弾性)、表面に小じわがある。関東地方の蒲鉾に比べて魚臭さがないのも特徴である。
行事食
祝い膳としての「いとこ煮」
山口県の「いとこ煮」は、「煮入れ」ともいっている。冠婚葬祭の時の冷たい料理である。小豆を甘すぎるほどの砂糖と少量の醤油で味付けした汁に、花麩・椎茸・ギンナン・白玉粉の団子を入れる。祝いの席には、紅白の団子と蒲鉾を入れる。仏事には白い団子・アワビ・サザエを使う。
山口と「かに風味かまぼこ」
山口県は蒲鉾の生産地として有名で、蒲鉾を製造する機械を作っている大手の会社があることで知られている。その大手蒲鉾機械メーカーが、カップラーメンと並んで世界的に有名な日本の加工品である「かに風味かまぼこ」を作る機械を製造している。「かに風味かまぼこ」の製造方法は、魚肉のすり身の素麺を作り、この素麺を束にしたものの一部を赤く着色し、食べやすい長さに切ったものである。