ふるさと食文化の旅:福島

福島

福島県は太平洋に面する浜通り、阿武隈山脈に近い会津地方、浜通りと会津地方の中間の東北本線(東北新幹線)周辺の中通りの3つの地域にわかれている。浜通りは温暖で、漁港が多く、冬の会津は豪雪地帯となる。中通りの気候は両者の中間である。各地域とも江戸時代の参勤交代により、江戸の文化・政治の影響を受けている。

郷土料理

魚

魚介類の水揚げは浜通り沿いに多い。とくにウニを蒸し焼きにした「貝焼き」は浜通りの特産品であるが、ウニの漁獲量が減少してから輸入のウニを使っている。

秋にはサンマのみりん干し、夏はカツオの刺身、アラ汁などのカツオ料理が多い。アンコウ鍋は肝臓を鍋の汁に溶かした「どぶ汁」として賞味する。

会津地方は新潟から運ばれる身欠ニシンを利用した「ニシン山椒漬け」がある。

肉

東北地方に位置する福島県の肉料理は、つい最近までは豚肉や鶏肉の料理が多かった。すき焼き・カレーに加える肉は豚肉であり、牛肉を利用するようになったのは、20~30年前である。

野菜

会津地方や中通り地方には、伝統野菜が栽培されている。日本カボチャの「会津菊」は350年前から栽培されている。早生の丸ナス「会津丸」は昭和初期から栽培されている。ニシンと野菜を一緒に漬け込んだ「三五八漬け」がある。

南会津の「舘岩カブ」は、300年前から栽培され、漬物に加工されている。

伝統料理

会津のニシンは日本海から

正月の餅は中心を高めに丸めた丸餅を用意する。神に白い餅を備え、家族は糧物の入った餅や小豆を入れて少し赤色になった餅を食べる。

会津地方では、11月下旬から12月にかけて、木製のすし桶に身欠きニシン・木の芽・トウガラシと一緒に漬け込む「ニシンのすし漬け」がある。

かつて(3・11東日本大震災前)は、相馬地方では「ホッキガイ」が取れた。相馬地方の伝統料理として、刻んだ「ホッキガイ」を入れたたき込みご飯がある。

河川の少ない会津は、新潟から運ばれた身欠きニシンを利用した「ニシン山椒漬け」がある。

行事食

浜通りの「ハレの日」は太平洋の魚で祝う

浜通り地方の正月には祝いの魚のマダイの代用として「ホウボウの塩焼き」が用意される。正月三が日を雑煮で祝うところが多いが、地域によって具が違う。雑煮の具に塩ザケを使うところもあれば、動物性の食品を使わないところもある。

会津地方の収穫祭に作る「かりあげ」は、蒸したもち米を半つきにし、竹串に丸めてさし「ジュウネン」という食材を入れた味噌をつけて焼いたものである。

食のこぼれ話

蔵の町に生まれた「喜多方ラーメン」

代表的ご当地ラーメンである。「蔵の町」喜多方には、百軒以上のラーメン店がある。朝早くから営業しているので、団体旅行の食事処として利用されている街でもある。

強力粉系の小麦を使用していて、麺のコシ(弾力性)が強く太いのが特徴である。だし汁は豚骨と煮干から調製している。あっさりしているようで重厚感のあるのも、「喜多方ラーメン」の汁の特徴である。