香川
香川県は四国地方の北東部に位置し、瀬戸内海に張り出した形になっている。海上には小豆島、塩飽諸島が浮かぶ。南部には讃岐山脈があり、その前面には讃岐平野が広がる。讃岐うどんで知られるように、うどんに適した良質の小麦粉の産地であり、讃岐うどんと同時に小豆島の手延べ素麺を生み出している。
江戸中期以降、坂出などの塩田や西讃岐の綿作、サトウキビの栽培・製糖が発達した。とくに、高級砂糖の和三盆は京都をはじめ、日本の和菓子には欠かせない砂糖である。小豆島はオリーブの栽培の盛んなところで、「小豆島オリーブオイル」のブランドで普及している。
郷土料理
伝統料理
「讃岐うどん」は香川スタイルのファストフード
香川県の代表的な伝統料理はうどんである。讃岐平野は、うどんの原料となる小麦の栽培に適していて、うどんを作るのに適した良質の小麦が収穫されていた。
「讃岐うどん」ほど市民生活に密着している食も珍しい。大晦日も正月もうどんを食べるという地域もある。香川県内のうどん店は、ほとんどが立ち食いでセルフサービスのスタイルである。関東で営業している「讃岐うどん」の店もセルフサービスで、チェーン店が増えている。すし、天ぷらなどが江戸時代のファストフードであるなら、「讃岐うどん」は香川のうどんバージョンのファストフードともいわれている。
行事食
小豆島に残る茶粥
香川県に属する小豆島の内海地区では、人の死後、仕上げ、二七日、三七日と、49日までの7日ごとに近所の人が集まって念仏をあげ、コメの中に炒った大豆を入れて作る「奈良茶粥」を食べる。また、小豆島の伊喜末八幡の秋祭りにはブンドウマメを炊き込んだ粥を神棚に供えるしきたりが残っている。
瀬戸内海の佐柳・志志・岩黒の島々では、茶粥に高知県大豊町で作られたかたまり茶を使う。志志島ではこの茶を「讃岐の馬のクソ」といい、年寄りのいる家では四季を問わず茶粥を食べている。
日本産オリーブ発祥の地
小豆島はオリーブの産地で知られている。地中海地方で生育している常緑高木のオリーブは、文久年間(1861~64)に医師・林洞海によって気候温暖な横須賀の地に植栽された。その後研究機関がオリーブの生育の適地を調べ、瀬戸内海の小豆島が地中海の気候に近いことから、明治41年(1908)に栽培試験地に指定され、現在に至っている。