社長の呟き 2020年10月号「毒書復活!」

日本橋倶楽部会報10月号(第494号)

【十月号】

「毒書復活!」

今月は「読書週間」(10月27日~11月9日)がスタートする。良書普及と読書奨励を目指して1949年に設定されたが、昨今の書籍・雑誌の売上げは15年連続の前年割れで、2019年は前年比4.3%減の1兆2360億円。ピークだった1996年の半分以下まで落ち込んでしまった。一方、電子書籍は前年比23.9%増の3072億円と出版物全体の2割を占めるまでになった。しかし今年はCOVID19感染拡大により学校は休校、学習書が飛ぶように売れ、社会人も自宅勤務で読書に勤しんで、売上はV字回復のようだ。ところで“全国書店員が選ぶ一番売りたい本”の「本屋大賞」をご存じだろうか?昔から小学校や図書館で本の推薦は行われていたが、思春期の青少年に思想や好みを押し付けることに抵抗感もあったようだ。しかし本屋で色々な本に巡り合い、読書量の多い店員の感性でアドバイスや推薦をされたら、読書の楽しみが増すに違いない。ブランデー片手に読書などと気取っても忽ち爆睡してしまう小欄が唯一覚醒していられるのは悪友達から薦められた刺激的な写真集や官能小説ばかり。“毒書習慣”しか身に付かなかった己にマスク越しの溜息をつく“栞”無月である。小堺