江戸のヘアスタイル①【男性の標準ヘアスタイル・月代】
前回までは、江戸っ子の食文化を取り上げてきましたが、今回からは江戸のファッション文化にまつわる事柄を連載していきます。まずは6回にわたって、江戸のヘアスタイルにまつわる話を御紹介します。
江戸時代の成人男性の髪型と言えば、何と言っても月代(さかやき)です。月代とは、額から頭の中央にかけて半月状に髪を剃り落とすことでした。浪人や医師などを除き、当時は月代を剃るのが通例でしたが、江戸時代のはじめは違いました。
江戸初期に流行したのは茶筅髷というものです。頭の後方で髪をまとめ、その根から元結で3~4寸巻き、先端を房状にした髪型です。茶筅の形に似ていたことで茶筅髷と呼ばれました。
その後、月代の風習が広まりますが、剃り残した髪は結い、元結をもって髷としました。いわゆる「丁髷」です。
医師や学者などは、月代を剃らず総髪にするのが定番でした。総髪とは全体の髪を伸ばし、これを束ねて結ったものです。しかし、月代は成人男子の嗜みとされたため、幕末を除いて、総髪は無頼漢のようにみられたようです。